昨日、一言メールフォームよりメッセージくださった読者の方へ、いつもありがとうございます。 匿名の方からのご声援に総じて御礼申し上げます。
一人でこもってカリカリ描いていると、ときどき猛烈に疲れを感じて これを描いてて果たして意味はあるんだろうかと、自分のやっていることに虚しさを覚えることもあるのですが、 読者の方の存在を感じられるととても励みになります。
メッセージくださったり、ウェブコミックランキングのご投票もいつもありがとうございます。
こうして反応いただけると、妄想盛沢山のSFを好き勝手描いていても 一人相撲しているのではないのだと安心させていただいています。
趣味の漫画とはいえ、何も達成できないまま終わる人生が何よりも嫌なので、 あと何年かかるかわからない先の長い道のりですが、 完成目指して着実に一歩ずつ頑張ります。
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さてEpisode 5-2 は終了です。
エピソードの後半は、第三者が介在することで心象操作ができてしまうという心理メカニズムをトピックに扱って描いていました。
「〇〇がお前のことを褒めていたよ」 と言われると、本人に直接褒められるよりもなんだかより一層嬉しくなる。
逆に「〇〇がお前のことバカにしてたぞ」 なんて言われてしまうと、今度は余計に憎たらしく感じてしまう。
あるいは「私はとても優秀です」と本人が主張するよりも、 「あいつはすごい優秀なんだぞ」と第三者に言ってもらった方がよっぽど信憑性が高く感じられる。
こんな第三者が介在することによる心象の増幅効果は、 近頃は心理学用語でウィンザー効果なんて言ってバラエティ番組等でも言及されているようですが、 私はそれを知ったのは阿刀田高先生の本からでした。
(7月23日の記事にもそのことについて書いていました)
クマイラは主人公の父親としての威厳を保たせるため、また幼い子に人を敬う気持ちを教えるために 自ら彼を尊敬してみせました。
母親たる役目の彼女がそれをすることによって、幼子に父の威厳を教え込むことができる。
そして実際のところ、信仰というものもこれと同じ作用が働いているのだと阿刀田高先生は指摘されていました。
とどのつまり、誰も神なんて見たことがないのですよ。
それなのに何故多くの人が神の存在を信じているかというと、 他の人が神は存在する、神は偉大だ、神を敬わなければ、と言うからです。
幼い頃からその刷り込みがなされ、文化と習慣と交わり、人の心に深い信仰心を芽生えさせていく。
こういう心理メカニズムは社会不安のときにも使われることがある。
日本の例でいえば、戦前の軍国主義に突っ走った時代、 軍部の指導で天皇陛下を現人神だと称え、国民に狂信的忠誠心を持たせようとした側面があります。
日本兵はクレイジーだ、天皇陛下万歳なんて言って命も惜しまず突進してくる、 なんて米英の兵士にも異様に映ったほどの忠誠心を植え付ける必要があったのです。
それが良い悪いの話ではない、事実としてそういうメカニズムは存在したのだ、と阿刀田先生は言われていました。
現人神だった昭和天皇の肖像写真は「御真影」といって学校にも置かれ、学童にも厳しく礼拝することを指導しました。
天皇陛下は現人神なのだから、滅多なことでお目見えできるものではない。 ましてそのお声を聞くなんてとんでもない。
こういう時代だったからこそ、敗戦を決めたときの玉音放送は天地がひっくり返るほどの事態だった立場の人もいたわけです。
天皇の肉声を収めたレコードをラジオ放送の直前で奪還しようなんていう事件もあったそうで、 そこに熱い人間ドラマを感じました。
人の心理はあらゆる方向に操作できるものなんだなと阿刀田先生の本から着想を得て、 この漫画のストーリー構成も組み換えたりしました。
人間の心理というものは驚くほど簡単にコロッと操作できてしまう。 でもそれが一人二人ではない、大挙になれば歴史を動かすうねりに変わる。
そういう流れが面白いなといつも感じています。
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さて、また少し休んでEpisode 5-3に取りかかります。
次のエピソードもとんでもなく長くなりそうで、年内に終わらせることができるのかわかりませんが、 頑張って描いていきます。
少々お待ちを。
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Date: 2017/09/09(土)
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